ブスには優しくしようと決めた日の夕暮れ

どうも、ゆうさくです。

 

ある日の昼下がり、ちょうど夜のアポイントまで時間があったので気になっていた人妻専門店にデリバリーを頼んだ。

サイトの中にいる数多くの自称人妻達の中から「これ」だと思う淑女を選んだ俺。

わくわくしながら彼女の到着を待っていた。

そして1時間後、写真とは別人の太ったおばさんがやってきた。

落胆した俺の顔は彼女に伝わっただろうが、この客のリアクションを彼女は何度も見てきたに違いない。

この女と楽しむことなど何もない。そう思った俺は早々にプレイを済ませ、タバコをふかした。

「マッサージしてもいい?」

太ったおばさんがそう問いかけながら俺の肩に手をかける。

(やめてくれ。。)

そう思いながらも俺は彼女のマッサージを優しく受け入れた。

 

俺たちは世間話を始めた。

 

「私、ダブルワークやから結構しんどいねん」

 

彼女はそう俺に語り始めた。

 

俺「え、昼は何してんの?」

 

彼女「建設会社で働いてる」

 

俺「え、事務とかしてるの?」

(もしかして、結構頑張り屋さんなのかもしれない)

 

彼女「いや、現場やねん」

 

俺「•••••」

 

それにしても写真と全く別人のこの生き物は一体なんなのか。。

自問自答を繰り返しすぎて怒りが湧いてきたので、失礼は承知の上で直接彼女に写真について質問してみた。

 

「あ、あのさこのサイトの自分の写真どう思う?」

 

「ほんまは、嫌やねんで」

 

彼女は悲しそうな顔をして答えた。

 

彼女曰く、客のほぼ全員がドアを開けた瞬間に驚きの表情を浮かべるのだそうだ。

彼女自身も客が写真と別人が来て、落胆しているのを分かっており、その表情を見るのが辛いそうだ。

 

激怒する客もいる。

 

ブスもブスで辛いことあるんだ。

 

この辛さはきっと美人には分からないだろう。

 

彼女は自分の容姿を補う為に必死になってテクニックを磨いたに違いない。

 

建設会社に行った時もそう、事務で雇われたと思ったら、君、現場ね!って言われたそうだ。

そこから必死で現場を覚え重機の免許まで取得したと彼女は言っていた。

 

時間の終わりが近づいてきた。

 

俺の怒りとほぼ同時に太陽が沈み始め、ホテルの窓の隙間からは西日が俺たちを差し込んだ。

 

俺の怒りの感情は優しさに変わり、

 

なにやら、懐かしく、安心した気持ちになった。理由は俺にも分からない。

そこには店から意図的に別人にされた女性がいたが、そんなのは関係ない。

ただ、明日もまた頑張れる。そんな空気を彼女から与えられた気がした。

 

終了を告げるコールが鳴り、プロフィールでは33歳の彼女は、最後に「私、35歳やねん」と言い俺の前から去っていった。